愛され続けている野球漫画
この作品は1972年から79年にかけて、別冊少年ジャンプ(ジャンプの月刊誌版)で連載されました。私はまだ小さかったので、週刊とか月刊とか良く分からずに、ジャンプコミックスを読んだという記憶が残っています。
この作品は、イチローさんが「リアリティのある野球漫画」として紹介されたことでも有名だと思います。
当時の野球漫画というと(決して嫌いではなくむしろ好きな方ですが)「巨人の星」とか「侍ジャイアンツ」とか「魔球」「秘打」の「トンデモ」「面白」方向の作品全盛の時代でしたから、この漫画は、かなり異色だったと思います。
でも、当時から人気がありましたし、周囲の評価は高かったですね。
ちばあきおさんについて
作者のちばあきおさんは、戦争中の1943年満州(今は中国)で生まれ、1984年に亡くなられています。大変有名な話ですが「あしたのジョー」作者のちばてつやさんの弟さんです。
ちばあきおさんには、他にも素敵な作品が沢山ありますが、この「キャプテン」はアニメ化もされましたし、知名度、完成度ともに申し分なく、代表作と言えると思います。
マンガを読んでいた当時はどんな方が存じませんでしたが、「やさしい」それでいて細部にこだわった「厳しいプロの目線」を持った方だと感じていました。
魅力的な歴代「キャプテン」
舞台となる墨谷二中は下町の中学校です。谷口タカオ(カタカナ)、丸井、イガラシ、近藤と4代続けてのキャプテンが描かれます。この作品は意図的に省略する部分が多く、下の名前がないキャラクターの方が多いですし、「イガラシはイガラシ」です。谷口をキャプテンに指名する先代のキャプテンも良い仕事しますが、名前はありません。
どのキャラクターも個性があり好きですが、個人的にはよく失敗もする丸井に共感を覚えます。アニメ版の印象が強い谷口のキャプテンが一番主人公っぽいですかね。
それぞれのキャプテンの紹介をしようと思うと作品そのものになってしまうので、今回の記事はここまでにしておきます。
「キャプテンに抗議しようぜ」「よしなさいよ」
「キャプテン」といえば、私にとって、この2つが印象的なセリフです。
意図的にではありますが、監督がいない形式をとっているこの漫画では、中学生ながら、主人公となる「キャプテン」に「組織の長の何たるか」の焦点があたります。
メンバーは、何かというとすぐに「キャプテンに抗議しようぜ」と盛り上がります。これをそれぞれが力を発揮して乗り越えていくという物語なんですよね。だからこその「抗議」、これがなければ「キャプテン」ではありません。
「よしなさいよ」は3代目のキャプテンになるイガラシのセリフです。「抗議しようぜ」と盛り上がる先輩に冷水をぶっかけるクールなイガラシが描かれます。
これもまたひと悶着を起こす一言で、入学から卒業まで3年間すべて作品の中で描かれる唯一のキャプテン・イガラシの成長も見どころになっています。
様々な作品化が続いています
「キャプテン」のアニメ化は1980年代のお話ですが、DVDもBlu-ray化されたり、私も見に行きましたが2000年代に入ってから実写映画化もされました。
高校時代を描いた続編「プレイボール」も固い支持を得ており、これも2000年代に入ってからアニメ化され、DVDでも見ることが出来ます。プレイボールに至っては、「グラゼニ」の作者さんがプレイボール2の連載をされています。
「キャプテン」は、「組織論(リーダー・キャプテン)」としての発見も読むたびに得られますし、作画・構成という点でも興味深いです。何であんなに「やさしく、読みやすい」作品が作られたのか、ちばあきおさんの愛情・技術がぎっしり詰まっています。このあたりは、集英社から出版された「ちばあきおのすべて」で知ったものも多いので、またの機会にご紹介しますね。
まだお読みでない方は是非触れて頂きたいですし、「読んだことあるな(とても有名な作品ですからね)」という方も読み返していただくと「懐かしさ」以上の発見があると思います。
次は歴代キャプテン別とか、アニメだけでも別に記事にしたいなと思いますが、今日はこの辺で。
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